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はじめて学ぶ!動くと食べるで糖尿病予防「健康づくり提唱のつどい」レポート~「動く」編~

はじめて学ぶ!動くと食べるで糖尿病予防「健康づくり提唱のつどい」レポート~「動く」編~

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    ニュータス編集部

2018年09月25日[2019年01月07日更新]

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「健康診断で血糖値が高めと言われた」、「家族の糖尿病が心配」。
糖尿病は血液中のブドウ糖が体内で有効に使われずに、血糖値が高くなってしまった状態をいいます。放っておくと、尿が増える、のどが渇くといった症状が出て、高血糖が長く続くと、手足のしびれや痛み、失明、腎臓病などの合併症を引き起こします。 現在、日本では糖尿病が強く疑われる人(糖尿病有病者)は約1,000万人、糖尿病の可能性を否定できない人(糖尿病予備群)も約1,000万人いると推計されています。(※1)
"他人事"とは言えないくらい、とても身近な病気の「糖尿病」。糖尿病はがんのリスクを上昇させることも大規模な調査で明らかになっています。 平成30年7月29日(日)に開催された「第39回健康づくり提唱のつどい」((公社)日本栄養士会主催、(株)ヤクルト本社協力)では、糖尿病をテーマに「動く」、「食べる」の最新情報を学びました。(※2)

重症化は、運動と食事で防ぐことができる

今回の講師は、順天堂大学大学院スポートロジーセンター・代謝内分泌内科学准教授で糖尿病と運動が専門の田村好史先生。田村先生は、「医師から糖尿病になりかけていると言われても、糖尿病はそこからでも予防できることが分かっています。また、糖尿病にすでになっていたとしても、運動と食事のルールを守れば、糖尿病の合併症(視力低下や腎障害、動脈硬化症)を防ぐことができます。糖尿病でも合併症に至らなければ、ほかの人と同様に寿命も長く保てるのです」と話します。

糖尿病は、血液の中にブドウ糖が多く一定の基準をこえた状態を指します。健康な人であれば、インスリンというホルモンの働きによって、血液中のブドウ糖は筋肉などの組織に取り込まれるのですが、糖尿病になるとインスリンの分泌や効きが悪くなり、ブドウ糖が血液中に多い状態=血糖値が高い状態(高血糖)になってしまうのです。

  • インスリンの働きについてはこちらをチェック

「運動は健康に良い、糖尿病の予防・改善には運動が大事」ということは皆さんも知っていることかもしれません。しかし、運動してもなかなか体重が減らないとき、あなたはどうしますか?

①効果がないからやめようかなぁ。
②やせないけど続けてみようかなぁ。

田村先生は、「体重が減らなくても運動は続けたほうが良いというのが、世界中の研究の結論です。運動をしたことによって、たとえ体重が減らない場合においても何らかの健康効果がもたらされる、と考えられています」と解説します。

やせていても糖尿病の心配がないわけではない

最近では、やせていて筋肉量が少ない人(特に女性に多い)は、血糖値が上がりやすいことも明らかとなってきています。やせているからといって、糖尿病の心配がないわけではありません。実際に、40歳から79歳までの糖尿病ではない日本人10,489人を対象にした研究では、BMI(※3)が18.5未満の"やせ"の人たちは、BMIが18.5~24.9の"ふつう"の人たちに比べて糖尿病の発症リスクが高いことが分かっています。

40代、50代と年齢を重ねていくと、カラダの筋肉量は自然と減っていきますが、筋肉量を減らさないように(できれば増やすように)運動することが大切なのです。

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運動の指針は、1日8,000歩以上と週2日の筋トレ

では、どんな運動をどれくらいすれば良いのでしょうか?

「週150分の有酸素運動(散歩でもOK)と週2回の筋トレ。これが運動の指針です」と田村先生は言います。週150分というのは、1日当たり20分程度。歩数にすると2,000歩くらいになります。運動の目標を設定しても、なかなか続けられないという人もいるでしょう。ウォーキングでの目標設定のヒントとして、田村先生は「1日に○分ではなくて、1日に○歩にするといい」とアドバイスします。

ある研究では、2型糖尿病の患者さんなどに医師が運動指導をする際に「1日30~60分体を動かしましょう」と言われた患者さんと、「1年で3,000歩アップしましょう」と言われた患者さんでは、歩数で目標を設定してもらった患者さんのほうが、実際に歩いた歩数がより多くなり、血糖値(ヘモグロビンA1cの値)も改善されたという結果が出ています。

歩数には、日常の掃除や荷物の持ち運び、通勤での移動などを含んでOK。30分以上座りっぱなしにしないようにすることもポイントです。

【歩数の目標設定】
第一目標:まずは1日に歩く歩数を今よりも2,000歩増やす!
第二目標:1日8,000~10,000歩を目指す!

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誰でもできる糖尿病の運動療法,P8(2013),テルモ(株)発行より転載

一方、筋トレは、自分の体重を活かしたスクワットが手軽です。インターネットで検索をして動画を見たり、テレビの体操番組を参考にしたりして、筋肉を意識しながらゆっくりと体を動かしましょう。

【筋トレの具体例】
・ひざをついて腕立て伏せ 
・椅子から立ったり座ったりを繰り返す
・腹筋は、無理に体を起こしきらずお腹に力を入れておへそをのぞく程度で。
 それぞれ10回×2~3セット、週2~3回が目安です。

現在、糖尿病で通院している人は主治医にどのような筋トレが良いかを聞いてみるのもいいでしょう。また、運動中に胸が痛いなどの症状が出たら、運動を中止してすぐにでも主治医に報告することを忘れずに。

田村先生は、「筋肉をつけるには筋トレ、そして食事です。肉や魚、大豆製品のおかずをしっかり食べないと筋肉はつきません」と話し、後編の「食べる」講演につなぎました。

まとめ

「運動していないことは、不健康を作り出していること」と、田村先生は注意を呼びかけます。糖尿病は、なる前も、なってからも"予防"ができる病気です。
自宅では、好きな音楽をかけながらの筋トレを。30分以上座りっぱなしでいないように、家族で「ちょっと動いたら?」と声をかけあうのもいいですね。ウォーキングには夏でも冬でも快適に歩けるショッピングモールも最適。自分が楽しめそうなコースを探しに、さっそく歩きに出かけてみましょう!

※1:平成28年国民健康・栄養調査
※2:「健康づくり提唱のつどい」は、WHO(世界保健機関)が提唱する「世界保健デー」(4月7日)に合わせて、(公社)日本栄養士会が社会活動の一環として1980年から毎年開催しています。スポーツ栄養、女性の美と健康など、毎年さまざまなテーマを設定して、人々の健康の保持・増進に貢献しています。栄養の日(8月4日)制定に伴って、今年度は「栄養の日・栄養週間2018」に合わせて横浜市で開催し、糖尿病をテーマに299人が学びました。
※3:BMIとは、肥満の判定に用いられる数値で、体重(㎏)÷身長(m)2で計算します。18.5未満を低体重(やせ)、18.5以上25未満をふつう、25以上を肥満と分類します。

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