多くの先進国で肥満が社会問題になっているにも関わらず、「日本の若い女性はやせすぎの傾向にある」というデータがあります。 思春期の過剰なダイエットは、妊娠・出産に悪影響を与える思春期に充分な栄養がとれないことが続くと、体は低栄養の状態になります。 肉体的には貧血・低血圧・無月経・不眠・免疫力低下といった症状が現れ、精神的にはだるい・疲れやすい・無気力・注意散漫などの障害が現れることがあります。 この時期に無月経や生理不順の状態が続くと、最悪の場合、将来妊娠しづらくなるということも考えられます。 また、妊娠しても、生まれてくる子が低出生体重児(出生時に2500g未満)になる可能性があります。 実際、日本では若年女性のやせすぎとともに、低出生体重児の増加が問題視されています。 他の先進諸国では、社会が豊かになるにつれ低出生体重児は減少していますから、これは日本独自の現象として警告が鳴らされています。加えて、低出生体重児は、将来の生活習慣病のリスクが高いといわれています。 「ダイエットが原因で子どもが病気になるかもしれない」と知れば、無茶な食事制限をする女性はいないのではないでしょうか。 周囲にダイエット中の若い女性がいれば、こうした事実を伝えておくのもいいかもしれません。 妊娠前から気をつけて摂りたい栄養素妊娠・出産の可能性がある若い女性に重要だと、最近よく耳にするようにもなった栄養素が「葉酸」です。 葉酸は胎児の成長や発達に欠かせないということで、妊娠中はもちろん、妊娠を考え始めた女性は積極的にとる必要がありますが、多くの女性は充分に葉酸をとれていないのが現状です。 葉酸を多く含む食品には、レバー、枝豆、モロヘイヤ、ほうれん草、ブロッコリーといった葉野菜があります。 まだ妊娠に気がつきにくい、妊娠初期に摂取の必要量が高まりますので、日頃から葉野菜を摂り入れ、栄養バランスのとれた食事を意識することが重要です。 思春期は生涯で唯一、骨密度が増える時期思春期は、将来、妊娠・出産ができる体をつくる時期というだけではなく、一生を通した体作りに大切な時期です。 この時期は生涯で唯一「骨密度が増える時期」だからです。そのため、この時期に極端なダイエットをして栄養素が不足した状態が続くと、骨密度が充分に増えることなく生涯を過ごすことになります。骨密度が低いまま高齢期にさしかかると、骨粗しょう症になる可能性が高まります。 日本では、現在60歳以上の女性の3人に1人が骨粗しょう症を患っているといわれています。発症すると些細なことで骨が折れやすくなり、そこから寝たきりにつながる可能性があるので、まさに高齢者にとっては命取りの病気ともいえるでしょう。 まとめ思春期に女性の顔や体がふっくらと丸みを帯びてくるのは、将来の妊娠・出産にそなえての準備であり、けっして肥満なわけではなく正常な状態なのです。 思春期は身体にとってとても大事な時期。無理なダイエットや偏った食事をせず、生涯にわたる健康な体作りを行いましょう。
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