栄養をきちんとからだに吸収させるためには、土台となる"腸"が重要です。ヒトの腸管には約1000種類にも及ぶ腸内細菌が生息してるといわれています。 2019年7月28日(日)に開催された「第40回健康づくり提唱のつどい」((公社)日本栄養士会主催、(株)ヤクルト本社協力)では、「知ってスッキリ!腸活de健康―腸内環境改善であなたが"かわる"」をテーマに、腸内環境を整えるための最新情報や食事のポイントについて400人以上が共に学びました。 あなたのうんちは大丈夫?今回の講師の一人は、腸内細菌研究の第一人者で、「うんち博士」としてテレビや雑誌などにも多く登場している、辨野義己先生((国研)理化学研究所科技ハブ産連本部バトンゾーン研究推進プログラム 辨野特別研究室特別招聘研究員)です。 辨野先生は、「体からの"お便り"を受け取る所、それが"便所"です」と強調します。 「自分は便秘ではない」と思っていても、3日以上、便が出ていない人は便秘です。週末の休みの日にしか便が出ない人を「週末トイレ症候群」と呼ぶそうですが、思い当たる人はいませんか?辨野先生は、「便秘に対して、あまりに無頓着な人が多い」と注意を呼びかけます。 辨野先生によると、便秘に悩むのは20~30代女性がもっとも多く、20代女性は2人に1人が便秘だそうです。その原因のほとんどは「食事」で、あとは運動不足とストレスであると言います。 一方、下痢に悩むのは30~40代男性がもっとも多く、その原因にはストレスと偏った食事が挙げられるといいます。そして、「自分ではストレスを感じていなくても、腸は先にストレスを感じて、便秘や下痢の状態になっている」と解説しました。 うんちは○○でできている!便は、水分が80%で、残りの20%のうちの3分の2は腸内細菌と腸からはがれた粘膜でできていて、食べカスは6~7%ほどしかないのだそうです。 「うんちは、食べカスが主でできているのではないのです」という辨野先生の解説に、「えー!」という声が上がりました。辨野先生は「とはいえ、食べカスの量を確保する、しっかり食べることで、便の量が増えて、便が体から早く出ていくことになります」と説明し、適切な食事をとることの大切さを訴えました。 腸内環境をととのえるための適切な食事とは、どんなものでしょうか? 辨野先生は「肉と野菜の食べる割合を、肉:野菜=1:3にする、すなわち「健康日本21」で言われている"野菜1日当たり350g"をしっかりとれたら、肉を100g程度食べるというバランスがちょうどよいです」と、目安を示しました。 野菜不足で、肉や肉の加工品の摂取が多いと、腸内環境は悪化しやすく、さらにお酒を飲む量が多いのも、腸内環境が崩れやすい原因になるといいます。 3つの「うんち力」をつけよう!腸内細菌は大便1gに約1兆個、種類は1000種類以上、総重量は約1~1.5kgあります。 講演では、「人生100年時代を健康に生きるには"長寿菌"が多い腸内環境をつくることが大切です」と強調しました。"長寿菌"とは辨野先生が名付けたもので、ビフィズス菌と酪酸酸性菌のことを指します。辨野先生による長寿地域のウンチ調査の結果、長寿の方々には、"長寿菌"が平均より多く発見されたことから名付けられました。 長寿菌の多い腸内環境をつくるためには、「運動50%、食物繊維40%、発酵食品の摂取10%を心がけましょう」と、辨野先生。運動とは、1日の歩数を9,000歩以上にして、さらに便を出すための筋力をつけるために、歩くだけでなく2階分の階段を上り下りすることも大切であると説明しました。 最後に辨野先生は、「適切な食事をして『うんちをつくる力』をつけ、腸内環境をととのえて『うんちを育てる力』をつけ、運動をして『うんちを出す力』をつける。ご自分のこの3つの力を、お便り所でしっかり確認しましょう」と、会場の参加者に呼びかけました。 まとめ便が出る頻度、色や形、においなど、自分で毎回、確認していますか?
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