「知ってスッキリ! 腸活de健康―腸内環境改善であなたが"かわる"」をテーマに開催された「第40回 健康づくり提唱のつどい」((公社)日本栄養士会主催、(株)ヤクルト本社協力)。講演会の後半は、腸内環境を整える食事のポイントと、腸と脳の関係について学びました。 食物繊維をとっても便秘ぎみの人は?前半の講演で"うんち博士"の辨野義己先生が、「人生100年時代を健康に生きるには、"長寿菌"が多い腸内環境をつくることが大切で、それには運動することと、食物繊維および発酵食品の摂取を心がけましょう」と強調しました。 これを受けて、管理栄養士の岡本智子先生(札幌保健医療大学保健医療学部栄養学科准教授)が、「腸内環境をよくする食のポイント!」を解説しました。 食物繊維は、その働きによって大きく2つに分けることができます。1つは水溶性食物繊維で、もう1つは不溶性食物繊維です。「便のかさを増やして、まとめる」がこの2つの食物繊維のそれぞれの役割です。 不溶性食物繊維は、その字のとおり、水に溶けない食物繊維。水分を吸ってふくらみ、便のかさを増やして、大腸の壁を刺激し、排便をうながしてくれます。ごぼうやれんこんといった野菜類、いも類、豆類、玄米などに多く含まれています。 どちらの食物繊維も大切なのですが、岡本先生は、「便秘でお悩みの方のお話を聞いてみると、不溶性の食物繊維を多くとりすぎて便が出にくくなっている方もいます。食物繊維を含むものをちゃんと食べているはずなのに便秘になりやすいという方は、食物繊維の種類も気にしてみてください」とアドバイスしました。 主食が足りない人も便秘がちにまた、主食の量が少ない人と、食事に汁物や飲みものをとらない人も便秘になりやすいと、岡本先生は注意を呼びかけます。 「ご飯やパンなどの主食は便のもととなり、便が便として成り立つためには量が必要です。また、水分不足も便秘の原因の1つです。飲み物だけでなく、みそ汁やスープなどの汁物を取り入れることも便秘の解消につながります。みそ汁やスープに、野菜やいも類など食物繊維を多く含むものを加えるとより良いでしょう」と解説します。 さらに、乳酸菌やビフィズス菌入りの食品の活用も有効であると説明しました。 よりよい腸内環境は睡眠にも効果が!「腸と脳は腸内細菌によって操られている?」という、気になるタイトルで最後にお話をしてくれたのは、西田憲生先生(徳島大学大学院医歯薬学研究部病態生理学分野准教授)です。 緊張したり、何か不安があったりすると、お腹が痛くなったり、お腹が痛い気がしたり、お腹の調子が悪くなったりしませんか? 最近のさまざまな研究で、人の腸内細菌の状態と精神症状の関連性が明らかにされており、腸内細菌を含めた「腸内細菌-腸-脳軸」が、新たな恒常性維持システムとして注目されています。 西田先生は、この「脳腸相関」を研究しています。進級試験を控えた医学部の学生たちに、腸内環境をよくする働きが認められている乳酸菌飲料を摂取してもらい、学生たちのストレスの反応を見るという研究を実施し、今回の講演ではその実験結果を紹介しました。 結果として、乳酸菌飲料を摂取した学生たちは、飲まなかった学生たちに比べて、「お腹の不快感などが少なくて体調がよく、ストレスを感じることも少ない」などの差がありました。(出典:Kato KA, et al Appl Environ Microbiol, 2016)) 西田先生は、「腸内環境がより良い状態になったことで、寝つきがよくなり、ぐっすり眠れるなど睡眠の質が改善されていることもあり、それによって体調が改善し、ストレスからも回復できたと考えられます」とし、乳酸菌やビフィズス菌など腸に良い働きをするプロバイオティクス摂取は腸内環境の改善、そして脳腸相関により心の健康にも役立つことが期待できると解説しました。 まとめ辨野先生、岡本先生、西田先生の3人のお話から、腸内環境を良い状態にしておくことは心身の健康づくりに重要であることが分かりました。目には見えない自分の「腸」、まずは日々のおなかの調子のチェックすることから、腸内環境改善、はじめてみませんか? ※1:「健康づくり提唱のつどい」は、WHO(世界保健機関)が提唱する「世界保健デー」(4月7日)に合わせて、(公社)日本栄養士会が社会活動の一環として1980年から毎年開催しています。スポーツ栄養、女性の美と健康など、毎年さまざまなテーマを設定して、人々の健康の保持・増進に貢献しています。栄養の日(8月4日)制定に伴って、昨年度から「栄養の日・栄養週間」に合わせて開催しています。2019年は神戸市で開催し、腸内環境をテーマに404人が学びました。 |