妊娠期間のなかでも特に初期は、赤ちゃんの大切な器官が形成されていく時期です。そんな大事な時期だからこそ、ママが食べるものには十分注意したいところ。とはいえ、あまり過敏になったり、インターネット上の不正確な情報に右往左往したりするのもよくありません。プロの管理栄養士のアドバイスをもとに、妊娠中に摂取しておきたい、気をつけておきたい栄養について確認してみましょう。 妊娠中、積極的にとりたい「葉酸」とは?葉酸はビタミンB群の仲間で、水に溶けやすい栄養素。ほうれん草やブロッコリーなどの緑色野菜、柑橘類、納豆などの豆類に含まれています。細胞成分をつくったり、血をつくったりするのに大切な栄養素なので、特に赤ちゃんの細胞分裂が活発な妊娠初期において必要とされます。 妊娠中に葉酸が不足してしまうと、赤ちゃんの無脳症や神経管閉鎖障害のリスク増加につながることも。あまり耳馴染みのない栄養素かもしれませんが、赤ちゃんの健康な成長のためにもしっかりと意識したいですね。 厚生労働省によると、葉酸の摂取目安は、成人女性で240μg(0.24mg)、妊娠中の方であれば480μg(0.48mg)と倍になります。これに加え、妊娠の計画・可能性のある女性や、妊娠初期の女性は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを減らすために、サプリメントや強化食品などに含まれている形態の葉酸で、さらに400ug(0.4mg)をプラスしてとることがすすめられています。 ・葉酸を多く含む食品(100gあたり)
葉酸は水溶性のビタミンだけに、ほうれん草やえのき茸などの野菜は調理した際、分解したり、溶け出したりして半分ほどが失われるので要注意です。ふだんの食事に取り入れやすい納豆やいちご、豆乳、きなこなども使って、上手に工夫しながら積極的に摂取するように心がけてみましょう。 正しい知識があれば安心! 魚も積極的に食べよういわし、さば、ぶりなどの青背の魚に豊富に含まれているEPAやDHAといった必須脂肪酸は、ママや赤ちゃんの脳や神経をつくるための重要な栄養素になります。しかし一方で、魚に含まれる水銀が胎内の赤ちゃんに及ぼす影響について、耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。 たしかに魚には、水揚げ地域に関わらず、水銀が少なからず含まれています。しかし、普通の魚に含まれる水銀はごくわずかで健康に害があるほどではありません。一部の魚の摂取に気をつけていれば、大きく心配する必要はないのです。 妊婦が注意すべき魚介類の種類とその摂食量(筋肉)の目安
※マグロの中でもキハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、ツナ缶は通常の摂食で差し支えありません。バランスよく摂食してください。 リストを見れば、キンメダイやメカジキ、クロマグロなど、日本でよく食べられる魚も含まれていますが、気をつけなければならないのは深海魚や大型の魚などのごく一部だということがわかります。あまり神経質にならないようにしてくださいね。 動物性食品に含まれるビタミンAのとりすぎには要注意脂溶性ビタミンの仲間であるビタミンA。視覚などの機能の維持から、皮膚や身体の成長にまで関わる大切な栄養素ですが、じつは妊娠中のとり過ぎに注意する必要があります。ビタミンAのなかでも、レバーやうなぎ、ほたるいかなどの動物性食品に含まれるものを過剰にとることで、赤ちゃんの先天性の異常が報告されているからです。 私たちの普段の食事では過剰に食べ過ぎることはあまりありません。しかし、サプリメントなどから思いのほかたくさん摂取したり、レバーやウナギなどビタミンAを多く含む食材を長期的に食べ過ぎたりすることは避けましょう。 また、植物性のビタミンAをとるのも一案です。植物性なら、にんじんやモロヘイヤ、ほうれん草などに、体内でビタミンAに変わるカロテンがよく含まれていますよ。いろいろな食材をバランスよく食べるように心がけることが大切ですね。 まとめ妊娠中の栄養補給は、ママがお腹のなかの赤ちゃんのためにできる大切なこと。あまり神経質になりすぎる必要はないですが、ふだん自分が口にしているものにはどんな栄養が含まれているのか? という意識は持ちたいですね。せっかく新しい命を授かったのですから、これを機会に栄養についての正しい知識も少しずつ学んでみてはいかがでしょうか? |