赤ちゃんよりもお母さんの身体が優先される

まずはじめに知っておいてほしいことがあります。それは｢お母さんの栄養状態が良くないと、お腹の赤ちゃんにも十分な栄養が行き渡らない｣ということです。

お母さんの｢たとえ私の身体への栄養が十分でなくても、お腹の赤ちゃんには十分な栄養をあげたい｣と思う気持ちはよく理解できます。

でも、生物的には｢そうはならない｣のです。お母さんに万が一のことがあると、お腹の赤ちゃんも｢大事に至る｣からです。

ですから、お母さんが太りたくないと食事量を減らしてしまうと、お腹の赤ちゃん（胎児）にちゃんと栄養が届きません。

胎児に栄養が届かない状態が続くと、胎児の発育が遅れてしまい、小さな赤ちゃん（低体重出生児）として生まれる可能性が高くなります。

低体重出生児は将来、
生活習慣病にかかりやすい？

低体重出生児は、お腹の中で一度｢飢餓状態｣を経験してきたようなものですから、生まれてからは栄養の吸収率が、普通の体重で生まれた赤ちゃんに比べて高くなります。

「栄養をとろう、とろう」とするのです。

その結果、将来、２型糖尿病や高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病にかかりやすくなります。さらには、心筋梗塞や脳梗塞など、重い病気にもかかりやすくなるといわれています。

糖質制限食はだめ
主食をしっかりたべましょう！

妊娠すると、胎児の成長を育むために、エネルギーの必要量が増えます。

私たちの主食、つまりご飯・パン・麺などの糖質はとても効率のよいエネルギー源なのです。そんなとき、糖質制限食をして、ご飯やパンや麺を抜いてしまったらどうなるでしょう。

エネルギーは炭水化物、たんぱく質、脂質のエネルギー産生栄養素から産生されます。糖質（炭水化物）が足りないときには、糖質ほどは効率がよくないたんぱく質や脂肪をエネルギー源とすることになります。効率があまりよくないので、身体への負担が増えてしまいます。

妊娠したら、糖質制限などはしないで、主食としてのご飯をしっかりと食べることをお勧めします。

意識してとりたい副菜
野菜の食べ方

私たちはふだんから肉や魚や卵などに比べて野菜の量は少ないのですが、妊娠中は食欲が低下する時期もあって、野菜を食べる量がさらに少なくなるようです。

意識して野菜を食べるように心がけたいものです。

野菜は、副菜として「具沢山味噌汁にする」、「蒸す・茹でるなどでかさを減らす」、「ミックスジュースにする」、など、たくさん食べられる工夫をしたいですね。

妊娠の初期には、胎児は細胞分裂がとくにさかんなので、新しい細胞をつくるためのビタミンやミネラルがたくさん必要です。

ほうれんそうなどの緑黄色野菜に多く含まれる「葉酸」は、赤ちゃんの脳の発育にとても大切です。また「葉酸」は妊娠の中期、後期においても細胞分裂や貧血予防に役立つため、妊娠する前から意識してとっておきたい栄養素です。

メインのおかずは適量に

からだの構成成分となるたんぱく質は、主菜であるメインのおかずに多く含まれます。肉や魚介や卵や乳製品、植物性の物なら大豆などがたんぱく質の供給源です。

女性に不足しがちな鉄を多く含むレバーなども取り入れると、貧血の予防になります。

まとめ

妊娠する前からしっかりと食事を！

妊娠中は、一回一回の食事が、胎児とお母さんの両方の栄養になります。
生まれてくる赤ちゃんのためにも、「ごはんやパンや麺などの主食」「肉や魚などの主菜」「野菜がたっぷり入った副菜」を意識して食事をしましょう。

主食・主菜・副菜をそろえることで、栄養のバランスがとりやすくなります。

お母さんの食事は胎児の栄養になるということを忘れないようにしましょうね。

また、妊娠はすぐにはわかりません。妊娠の可能性がある人は、普段からしっかりと栄養をとって、準備を整えておきたいものです。