離乳食開始直後から、子どもは「食べ物への関心」「適切な食行動」「食の正しい知識」「食事作りへの参加」などを身につけていきます。
この時期に、食べることを楽しいと思えた子とそうでない子では、大人になってから食に対する意識や食生活に違いがでると考えられます。
子どもと楽しくコミュニケーションをとりながら、豊かな食体験と正しい食習慣を築いていきましょう。
赤ちゃんに「豊かな初体験」を
お母さんのお腹の中にいる間、胎児はまだ「外の世界」との接触がありません。 離乳食は、赤ちゃんにとって初めての「外の世界」との接触といっていいでしょう。 不安や心配もあるかもしれませんが、できるだけたくさんの経験を積ませたいものです。
食に興味を持ってもらうために、いろいろなものを食べさせましょう。 甘い・旨い・柔らかい・固い・サクサク・ふわふわ・など、味覚や食感そして香りにバリュエーションがあることを知ってもらいます。
世の中にはおいしいものがたくさんあると知った子は、つぎに「これはどんな味(食感)だろう?」と自発的に新しい食材に興味を持つはずです。
上手に噛めるとおいしくなる
食べ方を教えるのも、この時期の大切な食育の1つです。 食材を噛まずに飲み込んでいると、丸のみ・早食いの癖やむし歯の原因になります。
きちんと口を閉じて、よく噛む習慣をつけさせましょう。 またそのために、食材を適切な大きさや固さにする必要があります。
食べ物が固すぎると噛めずに丸のみし、軟らかすぎると舌で潰してしまい、うまく噛めません。大人が小さく切ったつもりでも、子どもにとっては大きすぎる場合もあるので、注意してください。
しかし、「よく噛んで食べなさい」といっても、子どもにはその意味が理解できないことがあります。 そんな時は大人が噛むふりをして見せるのも有効です。
買い物と調理は好奇心を育む
子どもが少し大きくなったら、いっしょに買い物に出かけましょう。 多種類の食材に触れ、それをいっしょに選ぶことは素晴らしい食育になります。
形や色や、時には臭いや食感を経験し、食材の良さを肌で教えることができます。
年齢が上がると買い物だけでなく、キッチンでいっしょに料理をさせると子どもの食への関心は一層高まります。 ひとつの素材が、調理によって形を変えていくことに、子どもの好奇心が刺激されます。
男の子も女の子も、キッチンでの「お手伝い」は大好きな子が多いものです。 やけどやけがなどには注意を払いながら、積極的に家事に参加させましょう。
まとめ
食事は単に食べ物を摂取する、という生理的行動にとどまりません。 頭を使い・創造力を刺激し・会話を楽しみながらすることで、学校の勉強ではなかなか学べない「生き方」を身につけることにつながります。
そんな食事の楽しみを子どもの頃に知ることで、大人になってもきちんとした食生活を送ることが期待できます。
食育、と聞くと難しいものに感じるかもしれませんが、子どもといっしょに「食」について改めて考えるいい機会と気軽にとらえましょう。
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