年を重ねるにつれて体力が衰えてくるのと同じように、「食べる力」も低下してきます。
食べる機能を低下させないことが重要ですが、食べ物にも工夫をして食べやすくすることも大切です。
料理や水分が食べにくい、飲み込みにくい状態のままで食事の量が減ってしまうと、体の機能が低下して低栄養(状態)になり、病気や要介護状態になりやすいのです。
高齢になると食べにくいものは何?
噛む力、飲み込む力が弱ってくると、食べにくい食材や飲み込みにくい食形態(食事のやわらかさやまとまり具合)が出てきます。
次に挙げるような食材や料理は食べにくい、飲み込みにくいものなので注意しましょう。
- 生野菜・さくらえび・焼き肉・ごま・煎り大豆・ナッツ類など、もともとかたい食材。
- かまぼこ・こんにゃく・貝類・いか・ハム・きのこ類・油揚げ・しらたき・長ねぎなど、加熱をしてもやわらかくなりにくい食材。
- 繊維の多い野菜や果物(青菜類・ごぼう・たけのこ・れんこん・パイナップル)など、噛み切りにくい食材。
- ふりかけ・つくだ煮など、パラパラとして口の中でまとめるのが難しい食材。
- 焼きのり・わかめ・レタス・きゅうりなど、厚みがないために喉に張り付きやすい食材。
また、酢の物など酸っぱいものや、パンやふかしいもや、ゆで卵などはむせやすい料理です。一方、水やお茶、みそ汁などのさらさらとした液体も、飲み込む力が弱いとうまくごくんとできません。
なめらかなポタージュスープは、ミキサーにかけたあとに裏ごししてあり、さらっとしたスープよりも飲み込みやすい料理。特別に料理をしなくても最初から飲み込む力が弱った方に適しているものもあります。
こんなひと工夫で食べやすく
食べにくい、あるいは飲み込みにくい食材でも、次のような工夫をすることで、食べる機能が低下した高齢者も食べやすくなります。
1.加熱する
煮物や和え物など、加熱をしたやわらかい料理は食べやすいです。
また野菜は軟らかく炊いたり、繊維を裏ごしして取り除いたり、サラリとしたスープにはとろみをつけるなどの工夫をすると食べやすくなります。
2.パサパサさせない
適度に水分を含ませることも良い方法です。フレンチトーストやオムレツにして、パンや卵に豆乳や牛乳を含ませると栄養価もアップします。
3.つなぎを入れる
肉団子や和え物などに卵や小麦粉などを使って、食べやすくまとめましょう。
4.切り方を工夫する
野菜は繊維を断つように切ると、噛み切りやすくなります。玉ねぎなら水平方向に、ごぼうなら斜め切りにしてから千切りに。
5.油脂を加える
ふかしたいもを使うポテトサラダやスイートポテトには、マヨネーズやバターを加えることで食感がなめらかになり、飲み込みやすくなります。
6.細かく刻まない
調理前の食材の切り方に工夫は必要ですが、できあがった料理を細かく刻んでしまうと、口の中でバラバラになってしまい、かえって飲み込みにくくなります。
7.一口大にする
細かく刻んでしまうのはNGですが、口に入れやすい大きさにしてあげることは大切です。特に義歯の人は前歯を使う負担が減ります。
8.とろみをつける
市販のとろみ剤や片栗粉などを使ってみそ汁やスープにとろみをつけると、食べ物が口や喉をゆっくり通過でき、むせにくくなります。
あんかけ豆腐は冬には温かく、夏にはひんやりした銀あんをかけることで、出汁のうま味と一緒にツルンと飲み込める一品。
食べる環境も整えましょう。
筋肉の衰えとともに食事の時に食べやすい姿勢を維持することが難しくなります。
クッションなどで支えて食べる姿勢を安定させることも、いつまでも食事をおいしく食べるための秘訣です。
まとめ
高齢の方にとって食べにくいものは、単に固いものというだけでなく、喉に張り付きやすいものや水分量が少ないものなど様々ですが、調理によって解決することもあります。
ポタージュやあんかけ、とろみをつけるなど、飲み込みやすく調理するということも心がけるとよいでしょう。
|