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栄養の知識

おいしく食べて体重維持。体重の変動は健康状態のバロメーター

おいしく食べて体重維持。体重の変動は健康状態のバロメーター

大関 知子

監修
大関 知子
「高齢者の健康」と「栄養教育」を中心に、研究教育をしています
  • テキスト
    ニュータス編集部

2018年08月27日[2018年09月18日更新]

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高齢になっても、「だれの世話にもならずに自分のことは自分でできる生活」をずっと続けたいものです。
そのためには栄養不足にならないような食生活がとても大事です。

自分でできる健康チェックの基本は「体重を測ること」

若いときにはあんなに楽しみであり、そして、よく「食べすぎないように!」と注意さえされた食事なのに、高齢になってからは「食べることが楽しくない」と感じることも多くなります。

「年のせいだから」と放っておくと、知らず知らずのうちに、たんぱく質やエネルギーが不足して体重が減り、元気がなくなってしまいます。

その要因は2つ考えられます。

1つは心理的要因で、心配ごとを抱えていると食欲が落ちてきます。

もう1つは肉体的要因で、体のどこかに不調があって「食べづらいから残してしまう」「食べても栄養を消化・吸収できない」ことのいずれか、あるいはその両方です。

早期に気がついて、手遅れにならないうちに、それぞれに対する適切な対処をすることが必要です。



心の変化も体の変化も
見逃さないように


やせようとしていないにもかかわらず、なんとなく体重が落ちてきたと感じたら、心の変化と体の変化、双方から栄養状態をチェックしましょう。

最近、次のような傾向はみられませんか?(心の変化)


1. 一人で食べることが増えた

2. 外出する機会が減ってきた

3. 家族や親しい人が亡くなるなどで寂しい思いをしている


家に閉じこもっていると人と会う機会が減り、声を出して話をする時間が少なくなります。

気持ちが内向きになり、楽しいことや嬉しいことよりも、つい不愉快なことを考えてしまう・・・こんな状態が続くと、鬱症状や認知症に進むおそれがあります。

体が思い通りに動かないと感じることはありませんか?(体の変化)


1. 食べ物が喉に詰まったり、飲み込みにくかったりする

2. 食べるときに食卓で調味料を足すようになった

3. 夕方になると視界がはっきりしない

4. 話し声が大きくなったと言われる

5. 家の中で物につまずくことがある

6. 歩くときに歩幅が狭くなった

昨日と同じ動作が思うようにできないことを認めるのは辛いことです。

食べ物を慌てて飲み込もうとすると、食道ではなく肺気道に入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。

筋肉が衰えてくると、物につまずく、歩幅が狭くなる、そして早足で歩けなくなります。筋肉だけでなく、目・耳・舌・鼻・皮膚などの知覚神経も衰えてきて、食事が楽しくなくなるのです。



体重を維持する基本は
「おいしい!」と感じて食べること

「食が細くなった」からといって無理に食べようとしても、なかなか思うようにはいかないものです。

「食べることは楽しい!」と思えるような工夫が必要です。

楽しく食べると消化・吸収もよくなるようです。

1. 「好きなものを、好きな時間に、食べられる量だけ」を心がけてこまめに食べる

2. 好きなものから先に食べる

3. たんぱく質のおかずを先に食べる(ごはんは残しても)

4. 水分をこまめに補給する

5. 牛乳・ヨーグルト・チーズを毎日食べる

生活習慣病予防の観点からは、野菜を先に食べて急激な血糖値上昇を抑えるほうが好ましいのですが、食欲がない場合はそんなことを言ってはいられません。

血や肉になるたんぱく質から優先して食べましょう。
骨を作るカルシウムも乳製品で優先的に補います。
おやつには、ミネラルたっぷりのドライフルーツやナッツ類がおすすめ。



水分補給も忘れずに

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そして、忘れてならないのが
水分の補給です。
食事中の水分以外に、一日にコップ7~10杯の水分が必要です。
ヒトは睡眠中でも汗をかきますので、適切に水分を補給しないと、体内の水分が減ってしまいます。

体液や血液の水分濃度はつねに一定に保たれるようにコントロールされているのですが、限度を超して水分が少なくなると、血液濃度が濃くなったりして、流れが悪くなります。血液が固まりやすくなり、血管が詰まる恐れが生じます。

汗をかくお風呂上がりにも水分を補給しましょう。
お風呂上がりには、体を冷やさないように、冷たい飲み物ではなく、できるだけ常温か白湯を飲みましょう。

なお、利尿作用があるコーヒーや紅茶、糖分の高いジュースは水分補給になりません。



まとめ

おいしく食べて、「負の連鎖」を断ち切りましょう。
食欲が落ちて体重が減ってしまう状態は、栄養障害や病気のサインです。

こういうときは細かい栄養バランスを気にするよりも、「おいしく食べる気持ち」を回復させることを優先しましょう。
心も体も元気を取り戻すことが何よりも大事です。

食べたくない
→元気が出ないので家に閉じこもる
→運動不足になる
→体力が落ちる
→転倒・骨折の危険が増す
→寝たきりになる
→気分がふさぐ
→「介護」状態に陥る

このような負の連鎖を、意識して断ち切りましょう。

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