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超高齢社会の日本を救え。新しい介護食品「スマイルケア食」とは

超高齢社会の日本を救え。新しい介護食品「スマイルケア食」とは

赤枝 いつみ

監修
赤枝 いつみ
公衆衛生分野での職務経験豊富な管理栄養士
  • 撮影
    江森康之
  • テキスト
    タナカヒロシ
  • 撮影
    江森康之

2017年07月06日[2018年04月11日更新]

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「青」「黄」「赤」の3色マークがついた、スマイルケア食の選び方とは?

----スマイルケア食は、青、黄、赤の3色に分類されていますね。それぞれどういった食品ですか?

織田:青マークは、噛むことや飲み込むことに問題ないものの、効果的にエネルギー、たんぱく質を補いたい人向けの食品です。黄色マークは噛むことに問題がある人、赤マークは飲み込むことに問題がある人向けの食品になります。

噛むこと、飲み込むことで気になることがあれば、まずは専門職(医師、歯科医師、管理栄養士等)に相談し、医師等の指導に従って食品の選択をしてください。また、この分類は単純に要介護レベルに対応するものではないので、個人の状況に応じて最適な分類のものを選んでいただくことが大切です。

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農林水産省パンフレット「スマイルケア食の取り組みについて」より、スマイルケア食の選び方チャート

----審査の仕組みはどうなっているんですか?

織田:青マークは「自己適合宣言」により、商品が基準を満たしているということを指定の様式により自社ウェブサイトで宣言したうえで、農林水産省に申請し、許諾されれば使用可能になります。

一方、黄マークは農林水産省によるJAS制度「そしゃく配慮食品」に適合するとして、JASマークが付されている商品に許諾されます。また、赤マークは消費者庁による特別用途食品の表示許可制度「えん下困難者用食品」の表示許可を得た商品に許諾されます。

----介護食品を「スマイルケア食」と名づけたのは、どうしてなのでしょうか。

織田:介護食品という呼ばれ方にはマイナスのイメージを持つ方が多かったのです。「そろそろ介護食品を使ったほうがいいのでは」などと言われると、「私はまだそんな年齢じゃない」という抵抗感が生まれてしまうのですね。そこで農林水産省が介護食品の愛称について公募をした結果、「スマイルケア食」に決まりました。特別なものではないというイメージを持ってもらえる、高齢者にも受け入れやすい名前なのかなと思います。

----スマイルケア食として、現在どのくらいの数の商品が登録されているのでしょうか?

織田:青マークは52アイテムほどです。エネルギーとたんぱく質の含有量などに基準があるのですが、各メーカーさんの既存商品でも適合しているものがあるため比較的申請しやすく、徐々に数が増えています。黄マークは3商品、赤マークは9商品が許諾されています。

地域食が脚光を浴びるきっかけにも。スマイルケア食のこれからに期待大

----青マークの商品には、どのようなものがあるんですか?

織田:フジッコさんの煮豆も、青マークの許諾を得ています。普段から食べられている方からすると、意外かもしれないですね。ほかにもキーマカレーやスイートポテトなど、介護食品というイメージのない商品も多いです。

「健幸一番楽らく農園」という熊本の農家さんの「玄米スティック」は、スナック菓子のような見た目でそのままでも食べられるのですが、お湯をかけるとおかゆになるんです。熊本地震のときには、高齢者の方に食べてもらったと聞いています。

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農林水産省パンフレット「スマイルケア食の取り組みについて」より、スマイルケア食「青」マーク利用許可商品の一例

----意外な商品もたくさんあるんですね。

織田:秋田では県の総合食品研究センターが中心となり、県内の事業者と共同で、地場産の農水産物を使ったスマイルケア食の開発に取り組んでいます。現在のところ「あぐりこまち株式会社」さんの「あずきがゆ」が青マークの許諾を得ていますね。秋田ではもともと甘いおかゆを食べる習慣があるそうで、秋田のおいしいお米に、あずきを入れることで栄養基準を満たした商品になっています。

----いままで知られていなかった、おいしくて健康にいい地域・郷土食が、脚光を浴びるきっかけにもなりそうですね。

織田:そうですね。秋田県は人口に対する高齢者の割合が全国で1番高いという問題も抱えているのですが、それを逆手にとって、地域の高齢者が慣れ親しんだ味を活かした、スマイルケア食の普及運動に力を入れているんです。伝統食や地産物を生かした商品開発は、その地域にしかできない取り組みですね。

---今後の展開として、どのようなビジョンを描かれていますか?

織田:介護施設の職員さんや医師の方など、介護の仕事に携わる人たちからは、制度に高い期待を寄せていただいています。スマイルケア食の普及活動をしていると、どんな商品があるのかとか、どこで買えるのかとか、非常に積極的な質問をいただくんですよ。しかしながら現状はまだまだ登録商品の種類が少ないため、もっと認知度を高めて、たくさんの食品メーカーさんに商品を登録いただきたいと思っています。

高齢者の絶対数が増えているということは、企業にとってのビジネスチャンスでもあり、介護食品は確実に増えています。また、介護食品を使うことに対する抵抗感も小さくなってきています。

ベビーフードも出始めのころは、「母親がつくらないと愛情が足りない」なんて言われていましたが、いまは市民権を得て市場に出回っていますよね。介護食品を使うことも決して非難されることではなく、介護をする人にもされる人にもメリットのある食品であるという認識が広まっていくことを期待しています。

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インフォメーション

農林水産省「スマイルケア食」
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/kaigo.html

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