血糖値が高い状態が慢性的に続く「糖尿病」。失明や腎障害などの重い合併症を起こさないためには、食事の見直しが不可欠です。
食事療法と聞くと、制限が多く味気ない食事になると思われがちですが、糖尿病の食事療法は生活習慣病予防や健康維持の基本。糖尿病の方もそうでない方にも試していただきたい「健康食」、糖尿病の食事療法をご紹介します。
食事療法は、量・質・バランス!
糖尿病の食事療法は「基本の5か条」をベースに標準体重【※1】を維持することが王道です。
第1条 一日3食、規則正しく
欠食や一度にドカ食いをすることは体に負担がかかり、肥満の原因にもなります。
第2条 ゆっくり、よく噛んで
食事にゆっくり時間をかけよく噛んで食べると、満腹中枢が刺激され食べ過ぎを防ぐことができます。
第3条 間食・夜食・ダラダラ食いに注意
間食や夜食の習慣が肥満の原因になっていることがあります。食べる量や内容、タイミングなどの見直しを。
第4条 炭水化物・たんぱく質・脂質の必要量をバランスよく
基本となる栄養素をきちんと摂りましょう。摂りすぎも、足りないのもよくありません。バランスは、主食・主菜・副菜のそろった一汁三菜の食事が基本です。
第5条 ビタミン・ミネラル・食物繊維も欠かさずに
おもに野菜や果物、海藻、きのこ類などを積極的に摂りましょう。
糖尿病で肥満の場合、この5か条を守りながら標準体重に近づけるよう生活を見直すことになります。上記を実践しても太っている、という人は、日常的に適正エネルギー量【※2】をオーバーしているのかもしれません。
体重を記録しながら「ご飯の量が多くないか」、「揚げ物や脂っこいおかずの頻度が高くないか」など、食生活を振り返ります。できれば管理栄養士と相談しながら進めましょう。
食事は食物繊維の多いおかず(野菜、きのこ、海藻)から食べる、脂っこい料理は昼食で食べる、塩分は控えめにする、といった食べ方もおすすめです。
※1 自分の標準体重の出し方:身長(m)×身長(m)×22
例:身長 170cm 1.7×1.7×22=63.58 ≒ 64kg |
※2 適正エネルギー量(kcal)の出し方
標準体重(kg)× 身体活動量 「何を、どのくらい食べればよいか」を知って、今から始める糖尿病予防(No.2-2の記事へリンク)
例:身長 170cm、事務 64×28=1792 ≒ 1800kcal |
成果を出すのは継続的なチェック 何度でも再チャレンジを
成果を出すために最も重要なのは、「コントロールがうまくいっているかどうかの継続的なチェック」。ぜひ3つのチェックを実践してください。
毎日の食事内容を記録すると食事の内容や量を把握しやすくなります。文字で記録してもいいですし、デジタルカメラやスマートフォンで写真を残すのもいいでしょう。
1目盛りの幅を広くとってグラフに付けましょう。減量している人は成果が見えると励みになりますし、体重が大幅に増え続けてしまう前に手を打つことができます。
測定機器を使って確認し、日々の血糖値や尿糖の状態を把握しておきましょう。すでに糖尿病または糖尿病予備軍の方は治療や状態経過を知る大切な記録になります。
健康食の基本 実践編
「わかっているけど続かない」「やっているけど痩せない」「仕事上外食ばかり」などとお悩みの声も聞きます。
物足りなさや、仕事などで変えづらい環境は誰しも挫折のきっかけになるものです。そんなときは、次の工夫ポイントをチェックしてみましょう。
お悩み1
食事の量を減らすと物足りなく感じてしまう
- 工夫ポイント
エネルギー量はきっちり抑えつつ満足感は得られる工夫を
・低エネルギー素材(野菜・海藻・きのこ)を使ったおかずを食べる ・小分けにし、食べる量は変えずに皿数だけを増やす ・歯応えのあるものを食べる
お悩み2
コンビニをよく利用するので食事バランスを整えるのが難しい。
- 工夫ポイント
組み合わせや選び方を工夫して。
・おにぎり:ひじきの煮物や味噌汁を組み合わせて ・サンドウィッチ:具はコロッケ・カツを避け野菜の多いものを ・弁当:ご飯は少なめ、魚や野菜が多く入ったものを ・飲み物:甘いものではなくお茶か水を
お悩み3
外食をすることが多い
- 工夫ポイント
ヘルシーなお店を選び、残すことを許しましょう。「もったいない」よりも「適量にとどめる」を優先して。
・できるだけ和食を選ぶ ・食べ放題やバイキング形式は避ける ・エネルギー量や栄養成分表示を見る癖をつける ・同じエネルギー量であればボリュームのある方を選ぶ ・ご飯もおかずも多いと思ったら少しだけ残す
まとめ
糖尿病の食事療法は、どこかで聞いたことのある内容ばかりかもしれません。だからこそ、意識していなければ続かなかったりもしますよね。
健康的な生活は積み重ねが肝心。一度うまくいかなくても、いつでも再スタートできます。日々の食事を楽しみながら、5か条をベースに健康づくりをしていきましょう。
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