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SNSフォロワー3万人。菱沼未央の心もからだも豊かにする料理

SNSフォロワー3万人。菱沼未央の心もからだも豊かにする料理

赤枝 いつみ

監修
赤枝 いつみ
公衆衛生分野での職務経験豊富な管理栄養士
  • 撮影
    西田香織
  • テキスト
    阿部美香
  • 撮影
    西田香織

2017年03月26日[2018年04月11日更新]

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栄養バランスのとれた料理を美しく盛りつけて、見ても食べてもおいしく、誰もが幸せになれる料理をSNSやブログに公開している菱沼未央さん。フォロワー数3万人を超えるインスタグラマーとしても人気がある菱沼さんは、栄養学の名門・神奈川県立保健福祉大学 栄養学科を卒業後、企業の商品開発部門に所属したのち独立。フリーランスの管理栄養士として、さまざまな媒体でのレシピ作成やフードコーディネート、食にまつわるコラムの執筆、食器の企画など、幅広いジャンルで活躍されています。

そんな菱沼さんが、レシピの考案で最も大切にしていることは、「食べてくれる人の好みや体調、気分を考えながら、気持ちを込めて料理に向き合うこと」。管理栄養士としてのたしかな知見と料理への愛情を両立しながら、よりよい食生活を送り、誰もが健康になってほしいと願う菱沼さんに、管理栄養士になるまでのお話と、仕事で忙しい旦那さんのために考えた料理「エスニック茹で鶏」を紹介していただきました。

菱沼未央

1989年生まれ。大学卒業後、食品企業に勤めたのちフリーランスの管理栄養士として活動。二級惣菜管理士、JCCAベーシックインストラクター(BIR)、パンシェルジュマスターの資格も持つ。

https://www.instagram.com/fujifab12/
https://mio-hishinuma.wixsite.com/fujifab12

スポーツがきっかけで摂食障害に。栄養の大切さをたくさんの人に知ってもらいたい

----菱沼さんが管理栄養士になられたきっかけは何でしたか?

菱沼:いちばんの理由は、17歳のときに摂食障害になってしまったことでした。高校時代、ハンドボール部に所属していたんですが、からだを鍛えようとして糖質制限をはじめたんです。当時は部活に夢中で、「もっともっと鍛えたい」という思いから糖質制限がどんどんエスカレートしていき、普通の食事をまったく受けつけないからだになってしまいました。

当時は「摂食障害」という言葉が浸透しておらず、自分が病気だと思わなかったので病院に通うこともなく、一時は体重が35kgくらいまで落ちてしまって。運動どころではなくなってしまい、部活の引退試合にも出られず、とても悔しい思いをしました。

----いわゆる拒食症のような症状に。

菱沼:はい、そうなんです。大学に入学して正しい栄養学の知識を見につけ、拒食の症状が一旦はおさまったものの、社会人1年目で過食嘔吐という形で再発しました。あまり知られていないのですが、スポーツやダイエット、糖質制限がきっかけで、このような苦しい経験をする人が相当数いるんです。私のような人を1人でも減らすにはどうしたらいいかと家庭科の先生に相談したら、「食のプロである管理栄養士になるのはどうか」とアドバイスをいただけて。部活を引退した高校3年生の夏に進路を文系から理系にチェンジして、神奈川県立保健福祉大学に進んだんです。

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----管理栄養士の活躍分野には、医療現場や福祉施設、学校給食や行政の現場、研究機関などがありますが、当時、菱沼さんが目指していたのは、どの分野でしたか?

菱沼:やはり自分の経験のこともあり、スポーツ栄養学の分野で活躍できる管理栄養士を目指していました。栄養や食事に関するアドバイスを通じて、子どもたちが健康で楽しくスポーツをしたり、パフォーマンスを向上させるお手伝いができたらいいなと。ただ、スポーツ栄養学の分野で職に就くのはとても狭き門ですし、一対一の栄養指導だから、栄養の大切さをたくさんの人に知ってもらうには少し遠い道のりになってしまうと感じていました。

私自身、小さいころから食べることや料理をつくることが大好きで。私が摂食障害を起こした成長期の若い子たちはもちろん、もっと多くの人たちにごはんの楽しさを伝えたいと思っていたんです。

----それで選ばれたのが、食品企業への就職だったんですね。

菱沼:みなさんの食卓に並ぶ商品を手がける食品企業なら、より多くの人に食の大切さを伝えられると思って入社しました。そこで商品開発部門に所属し、基本的な食材の扱い方や下処理方法、盛りつけ方、写真の撮り方などを学び、いまはフリーランスで活動しています。

「おいしそう! 食べてみたい!」。Instagramやブログでのレシピ公開で伝えたいこと

----フリーランスになられて、まずはじめられたのがInstagramでのレシピ公開だったそうですね。SNSで活動をはじめられたのも、より多くの人に栄養のある食事、ごはんの楽しみを伝えるためですか?

菱沼:フリーになった最初はまったく仕事がなかったので、管理栄養士である自分の存在を知ってもらいたかったからというのもあります(笑)。やっぱり、からだによくておいしいごはんを伝えていくには、見た目も大切だなと思ったんです。私もそうでしたけれど、学校の家庭科の授業などで栄養素について勉強をしたり、教科書で食材の栄養の役割や調理方法を読んでも、自分が「おいしそう! これ食べたい」と思わないと、そもそもみんなごはんに興味を持たないですよね。

「Instagramに載せた写真を見て、『おいしそう! 食べてみたい!』と感じてもらえたら、食そのものにも意識が向くし、自分でもつくってみようと思ってくれるかなと思いました。気軽さを大切にしたかったんです。

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菱沼未央さんのInstagram。おいしそうなごはんの写真には数多くの「いいね!」がつく(https://www.instagram.com/fujifab12/

----菱沼さんのブログのレシピ紹介にも、「管理栄養士っぽいごはん」というカテゴリーがあるのがユニークですよね。

菱沼:はい、「~っぽい」というのがミソで(笑)。栄養の話というのはどうしても数字や専門用語が多くなるので、栄養学の知識がない方には難しくてつまらない。なので、堅苦しいことは言わず、「管理栄養士っぽいごはん」にしたんです(笑)。私が摂食障害を発症した高校生~大学生くらいの方にぜひ読んでもらって、食事を見直してほしいので、若い人に向けてちょっとユルく書いています。Instagramにも『#急に管理栄養士っぽいこと言うシリーズ』という栄養学コラムを載せているタグがあります。栄養学を身近に感じてもらえたら......という思いで気まぐれに投稿しているので、興味があったらご覧になってみてください。

食べてくれる相手のことを思い浮かべて、食材や調理法を変えていく

----そんな菱沼さんが、食事をつくるときにいちばん大切にしていることはなんでしょうか?

菱沼:管理栄養士の基本は、例えば病気であったり、調子が悪かったり、より栄養価の高い食事を必要とする方だったりと、一人ひとりに向けたアドバイスをすることなんですね。日々のごはんもそれと同じで、まずは家族だったり友達だったり、食べてくれる相手のことを思い浮かべてつくることが大切で。「健康状態はどうか?」「最近、体型は変わっていないか?」「栄養量と体型は合っているか?」......というように、食べる人の変化を意識して、食材や調理法を変えるようにしています。

それと、できるだけ食べる人の好きな味つけや調理法にすることですね。カロリーや栄養バランスも気になりますが、それらは参考程度に留め、できるだけおいしく食べてもらう。そうしないと、せっかくのからだにいい食事が長続きしないですから。何事も無理なくユルユルが基本です。

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菱沼さんの実家には農園が。小さなころから「食」を身近に感じる生活を送っていたそう

――肩肘張らずに食べてもらうことが大事なんですね。

菱沼:あと、食材を選ぶときは、旬のものがいちばん栄養価が高くて味もいいので、なるべく使うようにしたいですよね。調理法も素材の味をいかして、食材同士の組み合わせも意識します。例えば、鶏肉にはレモンなどのクエン酸、焼き魚には大根おろしのジアスターゼといったように、昔ながらの組み合わせは消化や吸収によかったりと、ちゃんと意味があったりします。そういうことも含めて、食べる人にいま足りないものは何かを考えて、料理に生かしていきます。

食材と向き合うときも調理をするときも、五感を使うと新しい発見がありますよ。匂いが強い野菜はあく抜きをしっかりするとか、新鮮な野菜は生でかじってみてから味つけを考えるとか、硬い葉は長めに加熱するとか、味覚だけでなく嗅覚や触覚などもフルに使うといいと思います。

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仕事で忙しい旦那さんのために考えた菱沼さんのとっておき料理、「エスニック茹で鶏&カオマンガイ」を紹介

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