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ネットの噂にはもう惑わされない。妊産婦さんのための栄養ガイド

ネットの噂にはもう惑わされない。妊産婦さんのための栄養ガイド

赤枝 いつみ

監修
赤枝 いつみ
公衆衛生分野での職務経験豊富な管理栄養士
  • 撮影
    相良博昭
  • テキスト
    石本真樹
  • 撮影
    相良博昭

2017年04月13日[2018年04月11日更新]

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インターネットや雑誌の情報は、著者や出典元をチェックしよう

----いろんな事例や研究結果によって、新しいことがわかってきているんですね。最近は、育児の合間にスマホで情報収集するママも多いので、信憑性のない情報に振り回されないよう注意が必要ですね。

井上:インターネットで検索するにしても、まずは国や自治体、管理栄養士が監修しているウェブサイトを参考にしていただけるといいかもしれません。育児本やインターネットの情報については、奥付やクレジットで著者や出典元を確認してほしいですね。

門口:あと、母子健康手帳には地域の保健所の連絡先が書かれているので、相談窓口で管理栄養士に直接聞いてみるのが確実かなと。

安達:テレビや雑誌などで、栄養に関するトピックが紹介されると電話相談が増えるのですが、私たち管理栄養士がはじめて聞くような内容も多いんです(笑)。そういった場合も、科学的根拠にもとづいた返答をするようにしていますね。

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葉酸、魚、生肉、アルコール、妊産婦さんが本当にとってはいけないものは?

----今日は管理栄養士の方に集まっていただいたので、妊産婦さんが知っておくべき栄養についての正しい情報も伺いたいのですが、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減する「葉酸」への注目が以前から高まっていますよね。

安達:妊娠前・妊娠初期の葉酸の摂取については、だいたいの妊産婦さんが知っているようですが、妊娠中だけでなく、生涯にわたって大事な栄養素でもあります。鶏レバーやブロッコリーなど、どういった食品に多いかといった具体例を出して、産後も続けてとることをおすすめしています。

----葉酸はサプリメントもたくさん出ていて、それらを摂取しているママも多いように感じます。

安達:基本的には食事からとっていただきたいですが、不足しがちなときはお医者さんからすすめられる場合もあると思うので、その場合どちらでも問題ありません。ただ、とりすぎやいろんなサプリメントを併せてとっている方は注意が必要です。

サプリメントは、妊婦・授乳婦の安全性をヒト試験で確認することが困難なため、「併せて食べたらどうなるか」など、わからないことがほとんどです。母体だけではなく、胎児や乳児に思わぬ影響が出る可能性もあるので、妊婦・授乳婦が積極的に摂取することはおすすめできません。

----反対に、妊産婦さんや乳児がとらないほうが良い食べ物はどんなものですか?

安達:妊婦さんの場合は、生肉や水銀を多く含む魚などです。水銀は大量に摂取すると胎児の発育に影響が出ることがあります。あとは最近だと、「はちみつ」に含まれるボツリヌス菌による、乳児ボツリヌス症の事例が報告されたので、乳児のいるママ・パパにはさらに啓発していく必要があるかなと。ヨーグルトにもはちみつ入りのものがあるので要注意です。

門口:水銀についてご説明すると、すべての魚を食べてはいけないと思ってしまう妊婦さんもいらっしゃるのですが、水銀の含有量が多いのはあくまで一部の魚に限った話です。サバやイワシ、カツオ、ブリ、サンマ、サケなど、食べてもいい魚はたくさんありますし、もし含有量の多い魚を食べてしまっても、食べ過ぎなければ大丈夫です。

生肉はトキソプラズマ症(寄生虫により起こされる感染症)やギラン・バレー症候群(主に筋肉を動かす運動神経に障害が起こり、四肢に力が入らなくなる病気)などの原因となります。最近ではナチュラルチーズや生ハムから検出されたリステリア菌の食中毒にも注意が必要です。O-157やサルモネラ菌による食中毒もあるので、妊婦さんはもちろん、お子さんも生肉や生卵は食べないようにしましょう。

1704_chiyoda_2-2.jpg----妊娠中や授乳中のたばこやアルコールについてはいかがですか?

井上:アルコールの場合、ママの血中アルコール濃度が一定値を超えると、お腹の子どもにさまざまな障害が出てくるというエビデンスがあります。一定値を超えなければ大丈夫とも言われていますが、血中アルコール濃度を自分で正確に測ることはできないので、飲まないに越したことはないと思います。

たばこについては、妊娠中に吸っている方はいらっしゃいませんが、これを機にママだけでなくご家族の方も禁煙するよう、受動喫煙の害についてお話ししています。

いまの妊婦さんがいちばんとりすぎている食品は「お菓子」

門口:「まま・ぱぱ学級」では、参加者に簡単なアンケートをさせていただいています。食生活や栄養バランスについて個別にアドバイスするのですが、いまの妊婦さんがいちばんとりすぎている食品はお菓子なんです。

----え、お菓子ですか? バランスの良い食事とはだいぶ違いますね。

安達:食事が進まないつわり期間は仕方ないのですが、つわりが終わった妊娠中期〜後期でも、お菓子を多く食べている妊婦さんはいらっしゃいます。それはこの10年変わらない傾向です。本人からお話を聞いていると、栄養についてあまり知識がないだけでなく、忙しくてお料理をする時間が少ないのかなと感じることも多いですね。

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井上:最近、食べたものを記録して栄養管理ができるスマホアプリもあるそうなんですが、「たんぱく質が不足しているけど、お肉は食べ過ぎという結果が出て、何を食べていいかわからない」という質問を受けました。たんぱく質は魚や卵、大豆製品からもとれますよ、というお話をしたのですが、こういった基礎的な栄養知識もあまり知られていないことを実感しましたね。

安達:反対に豆腐や納豆などの大豆食品はヘルシーなイメージがあるのか、妊産婦さんに限らずみなさん積極的にとっている傾向があります。たしかに、大豆からとれる植物性のたんぱく質は、肉や卵などの動物性たんぱく質に比べて脂質が少ないのですが、偏りなくそれぞれ適量をとっていただくのがいいと思います。

井上:テレビや雑誌である食材が健康にいいと紹介されると、その食材を特効薬のように考えて、そればかりとろうとする傾向には疑問を感じます。ひとつの食材ばかりをとってしまうと栄養バランスがくずれてしまうので。

門口:いいと言われたらそれだけを食べて、ダメと言われたら極端に避けるという偏った考えでなく、食事はバランスをとることがいちばん大切だということを知っていただきたいですね。

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食物アレルギーについても「間違った情報」がいっぱい

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